ある年、梅雨に入る前の時期の平日にふらっと万平ホテルを訪れたことがある。物書きという自由業は、原稿の締め切りが立て込んでくると、実は1番不自由な身分になるが、締め切りがないときは完全に自由の身。そこで、これから混雑する季節を迎えるので、行くなら今日だというわけで、仕事がないことを幸いに万平ホテルに出かけたのだが、人影の少ないリゾート地の良さを存分に味わった。何のためにリゾートへ足を運ぶのかを考えたとき、私の1番の目的は、「人混みを避けて静寂に浸ること」である。
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ダイワロイネットホテル広島
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米沢 ホテル
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新札幌 ホテル
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ホテルエコノ金沢片町
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清水 ホテル
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ジョン・レノンもまた、人混みを避けるために万平ホテルにやって来たことは有名な話。それを思い出しながら、私はホテルで自転車を借り、静かな林の中をサイクリングして楽しんだものである。で、そのとき目的は十分に達成したのだが、万平ホテルに少し気掛かりなことがあった。現在の本館(アルプス館)は昭和11年(1936)年の完成なので無理もないが、客室の床が少し傾き、浴室では排水の臭いが少し漂う状況だったのだ。老朽化を理由に、あの長野県佐久地方の養蚕農家をモチーフにした名建築が取り壊されたらどうしようという心配が頭をもたげてきたのである。万平ホテルはしかし、全面改築などという無謀なことはしなかった。昨年、客室のみをかつての趣を再現しながら改装を行なったのである。しかも、あの猫足のバスタブを残しながら。それから同時に、昭和10(1935)年に建設された新ウスイ館の客室が、完成当時の内装を再現して改装されたのも歓迎すべき出来事である。収納家具は従来通り軽井沢彫りで、ちょっと古風な形の書き物机も復活した。また、こちらの客室の一部にも猫足のバスタブが入れられており、廊下には歴史的資料をギャラリー風に装飾。大正期に移築されていた総檜造りの遺構、三井財閥11家の連家・鳥居坂家の屋敷では、京都の名店「熊魚庵たん熊北店」が営業を始めた。こうして、由緒あるリゾートは、私の心配なんかものともせず、再び歴史的な香りを発散するようになったのである。カフェテラスでジョン・レノンが注文したロイヤルミルクティを飲んで、しばらくぼっとしていると、ホテルの人が食事の時間を知らせるチャイムを鳴らした。万平ホテルが長年の伝統としている飯事の鐘の音である。では、昭和初期の軽井沢を描いたステンドグラスが見事なダイニングルームで、食事をしようとするか。